令和5年度 社会福祉法人吹田市社会福祉協議会事業計画 地域共生社会の実現に向けて 国は市町村において包括的な支援体制構築を早急に進めていくことが重要であるとし 吹田市においても重層的支援体制整備事業実施の検討に入っているところです。重層的支援体制整備事業では 市町村全体の支援機関 地域の関係者が断らず受け止め つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに 属性を問わない相談支援 参加支援 地域づくりに向けた支援 の3つの支援を一体的に実施することを必須にしており 社会福祉法人吹田市社会福祉協議会 以下 吹社協 という が今まで進めてきた地域福祉推進活動と方向性に大きく変わりはありません。コミュニティソーシャルワーカー 以下 CSW という のアウトリーチによる断わらない相談支援や 地区福祉委員会と取り組んできました小地域ネットワーク活動 また重層的支援体制整備事業で必要とされる社会福祉法人等との多機関協働事業においても これまで吹社協は実績を積み上げてきています。本年度も 吹社協第4次地域福祉活動計画 令和2年度〜令和6年度 を着実に推進することで 吹田市が検討している重層的支援体制整備事業にも一定の役割が果たせるものと考えており 本年度は吹田市と協議を前向きに進めてまいります。 また コロナ禍のなか 吹社協では国からの要請を受け 令和2年3月25日から生活福祉資金コロナ特例貸付 以下 「コロナ特例貸付」という を実施し 経済的な支援を必要とする住民の相談を受けてきました。このコロナ特例貸付は 突然の減収や失業等により生活に困窮した世帯に迅速に生活資金を届けることで生活を支えるという役割を果たした一方で 丁寧な相談支援よりも迅速な貸付が優先され 貸付件数が増えていく状況になったとも言えます。またこれまで 吹社協との関わりが比較的少なかった住民 単身の若年層や 自営業者 外国籍の方々等 が 貸付の相談に多く来られました。このような状況のなか あらたに吹社協には今後10年を超える債権管理事務を 国や大阪府社会福祉協議会から求められることになりました。吹田市生活困窮者自立相談支援事業 吹社協と社会福祉法人みなと寮の共同受託 との連携は不可欠となり これまでの総合相談の窓口としての吹社協のネットワークと経験を活かし コロナ禍で債務や課題を抱えた住民に対して適切な相談支援が実施できるよう取り組む必要があります。 認知症高齢者の増加 障がい者の地域移行の進展に伴い 本人ならびに関係機関から日常生活自立支援事業に対して ますます期待が寄せられています。また 国の成年後見制度利用促進基本計画においても 権利擁護支援のネットワークづくりの体制整備などが求められており 吹田市でも 権利擁護支援の中核機関としての役割について 日常生活自立支援事業 法人後見事業を実施している吹社協にも期待し その制度内容を検討されています 国が進める権利擁護に関する事業が適切に展開できるよう吹田市と十分に協議し 吹社協の事業につなげていきたいと考えています。 また 団塊の世代が後期高齢者となっています。団塊の世代の高齢者を含め 社会参加や社会貢献への参加を望む住民がボランティア活動につながるような支援や仕組みが必要です 高齢者がアクティブシニアと呼ばれ 様々な場面で活躍できるよう広域型生活支援コーディネーターに加え 本年度から配置する地域型生活支援コーディネーターの機能が CSWやボランティアコーディネーターと連携することにより 高齢者の社会参加と互いに支え合う地域社会の構築につながるよう努めてまいります。 以下の10点を 令和5年度の重点目標として取り組んでまいります。 1地区福祉委員会活動への支援 誰もが地域で孤立することがないよう地域住民同士の見守り 声かけや 普段から顔を合わせる機会としての小地域ネットワーク活動の推進に地区福祉委員会とともに引き続き取り組んでまいります。各地区福祉委員会では コロナ禍でも工夫してつながり作りを継続してきましたが この平時のつながりが 災害などの有事の際の安否確認などにも有効と考えています。   2ボランティアセンター事業促進 一人でも多くの方がボランティア体験できるよう機会の提供と創出を行います。また地区福祉委員会 ボランティア 小中学校 吹社協施設連絡会 CSW等と連携した福祉教育授業を引き続き実施するとともに 大学の数が多い吹田の特性を活かして 大学生のボランティア活動の強化にも取り組みます。 また コミュニケーションが不得手な方の社会貢献や他者とのふれあいの場として コミュニティサロンを吹田市ボランティア連絡会とともに継続実施します。 3生活困窮者自立支援事業 コロナ禍によって生活困窮に陥る世帯や個人が急激に増えました。すでに コロナ特例貸付の償還が始まるなか そもそも生活再建が難しい世帯も多く 引き続き丁寧な支援が必要となります。地域住民や関係者に生活困窮者自立支援事業の周知を図るとともに 事業受託5年目となる経験やネットワークを活かした相談支援が実施できるよう取り組んでまいります。 4災害ボランティアセンター 南海トラフ地震が想定されているなか 吹社協もあらゆる事業で災害を視野にする必要に迫られています。昨年度より 職員によるBCP(事業継続計画)策定に取り組み その計画の完成度を高め ブラッシュアップを図るとともに 吹社協が事務局となる吹田災害支援ネットワークとも連携して 災害ボランティアセンターに関する研修を行い 有事の際の支援に備えます。 5CSWによるネットワークの構築 CSWは配置以来 属性を問わない相談支援に取り組んでまいりました。今後も地域包括支援センター スクールソーシャルワーカーや 昨年度に組織化された居住支援協議会など 関連する専門機関との連携を図り 必要なネットワークに参画あるいは構築することで相談者への適切な対応ができるよう努めてまいります。 6吹社協施設連絡会との協働 市内で100を超える民間社会福祉施設が 社会貢献を目的に組織され 地区福祉委員会活動への協力をはじめ かぎ預かり事業 学生への食料支援など様々な場面で吹社協と連携してきました。また 制度の狭間に陥った生活困窮者に対する支援に取り組む 吹田しあわせネットワーク では 相談事例の情報共有と対応策が検討されており CSWや生活困窮者自立支援事業担当者も参画することで 吹社協施設連絡会とのさらなる協働を進めてまいります。 7権利擁護支援事業 判断能力が不十分な方の生活を支えるために 日常生活自立支援事業や法人後見事業を通じて地域での自立支援を行ってきましたが コロナ禍 銀行窓口の合理化 キャッシュレス スマホ決裁など 様々な要因で 今まで支援してきたような対応が難しくなっています。そのような中でも 意思決定支援を重視し利用者に信頼され その人らしい生活ができるよう地域福祉の観点をもって 本事業を実施するとともに 吹田市における権利擁護支援の中核機関の設置に向けて 吹田市と協議してまいります。 8広報の強化と自主財源の確保 吹社協は 住民からの 地域ふくし協力金 赤い羽根共同募金 善意銀行 や吹田市からの補助金 委託金で様々な事業を展開しています。これらの活動を多くの住民や関係者にご理解いただくためにも広報活動は重要です。ホームページや広報紙の内容を充実させ わかりやすい広報に強化することにより 自主財源の確保にもつなげていきたいと考えています。 9コロナ特例貸付の債権管理事務 コロナ禍を起因とした生活困窮者への支援として コロナ特例貸付の債権管理事務を担当する職員を増員して対応してまいります。同時に 従前の生活福祉資金貸付も民生児童委員と連携し 世帯更生に向けた支援が継続して実施できるよう取り組みます。貸付相談から発見できた生活課題を 必要であればCSWとも連携して伴走型で支援できるよう吹社協の総合相談の一環として事業を進めてまいります。 10信頼される法人運営  職員の事務能力の向上を図るとともに 法人として情報公開と コンプライアンスの遵守に努め 理事会 評議員会を通じて適切な法人運営を図ってまいります。また 吹田市の関係部局とも情報共有を密にして 誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる地域福祉の増進を公民協働で取り組んでまいります。